この声、聞こえますか?



庄田さんから、俺と律がいる場所を聞かれ、近くにある建物やお店の特徴を伝えると、今からこっちに向かうと言ってくれた。
俺と律は、近くのコンビニの入り口付近で庄田さんを待つことにした。
すっかり日が落ち始めて、辺りは薄暗い。



「……さっきの。嘘って、どういうこと?」

庄田さんのことを待ちながら、俺は律に顔を向けて、改めてそう尋ねる。


別に怒ってはいなかった。
驚きはしたけれど、それだけだ。
特に俺は、その嘘に迷惑を掛けられた訳でもないから。

でも、何でそんな嘘を吐いたのかは気になる。
出来心?
でも、素直で真面目な律のことだ。ただの出来心や悪戯ではないのかもしれない。
何か事情があったのなら、それを知りたい。