「綾はさ、凄い明るい子だったんだけど、さすがに入院生活になった直後は元気もなくて、毎日落ち込んだ顔しか見れなかった。
でも、数日経った頃、綾が笑顔になる出来事があったんだ」
笑顔? と俺は聞き返す。
一体、どんな出来事だったのだろう。
「その日はいつもより少しだけ体調が良くて、ベッドから起き上がって、綾が携帯で呟きアプリを見ていたんだ。その時に偶然、ふたつ祈りの噂について呟かれてるのを見付けて、俺にも見せてくれたんだ」
「SNSで、ふたつ祈りの噂が?」
「うん。あ、バズってるって訳ではなかったんだけど、あの神社の近所に住んでる学生達が面白半分で噂してた、って感じだったかな。
その神社で、二人で同時に同じ願い事をすると、奇跡が起きる。
正直、俺はそういうの信じていないし、その記事を読んだ時も、何だこれ……って感じだったけど、それまでずっと落ち込んでいた綾が、その時だけは凄く明るい笑顔になったんだ。
それで、掠れた声で言ったんだよね。
『退院したら、この神社に一緒に行って、私達も奇跡起こしたいね。この言い伝えについて、もっと知りたい』って」
「綾さん……」
「……だけどその翌日から、綾はほとんど言葉を話せなくなって、数日後、容態が急変した。
だから、俺達が最後にちゃんと話した内容は、ふたつ祈りの約束だったんだ」
最後、という言葉に、胸がギュッと締め付けられる。
「綾が亡くなってから、俺も若干自暴自棄というか、恥ずかしいけど引きこもっていた時期があったんだ。
だから、ふたつ祈りについて調べることもしなかったんだけど……あれから一年経って、まだ辛いけど、綾の最後の願いを叶えたいなと思ったんだ。
〝ふたつ祈りの言い伝えについて、もっと知りたい〟っていう、綾の願いを」
「……っ」
「でも、いざ調べ始めても何の情報もなくて。まあ、デマだったのなら当然だけど。
君達がふたつ祈りの話をしているのを聞いた時は、きっと何か知ってる! って思ったんだけどな」
そう言うと、庄田さんは再び大きく肩を落とした。
でも、数日経った頃、綾が笑顔になる出来事があったんだ」
笑顔? と俺は聞き返す。
一体、どんな出来事だったのだろう。
「その日はいつもより少しだけ体調が良くて、ベッドから起き上がって、綾が携帯で呟きアプリを見ていたんだ。その時に偶然、ふたつ祈りの噂について呟かれてるのを見付けて、俺にも見せてくれたんだ」
「SNSで、ふたつ祈りの噂が?」
「うん。あ、バズってるって訳ではなかったんだけど、あの神社の近所に住んでる学生達が面白半分で噂してた、って感じだったかな。
その神社で、二人で同時に同じ願い事をすると、奇跡が起きる。
正直、俺はそういうの信じていないし、その記事を読んだ時も、何だこれ……って感じだったけど、それまでずっと落ち込んでいた綾が、その時だけは凄く明るい笑顔になったんだ。
それで、掠れた声で言ったんだよね。
『退院したら、この神社に一緒に行って、私達も奇跡起こしたいね。この言い伝えについて、もっと知りたい』って」
「綾さん……」
「……だけどその翌日から、綾はほとんど言葉を話せなくなって、数日後、容態が急変した。
だから、俺達が最後にちゃんと話した内容は、ふたつ祈りの約束だったんだ」
最後、という言葉に、胸がギュッと締め付けられる。
「綾が亡くなってから、俺も若干自暴自棄というか、恥ずかしいけど引きこもっていた時期があったんだ。
だから、ふたつ祈りについて調べることもしなかったんだけど……あれから一年経って、まだ辛いけど、綾の最後の願いを叶えたいなと思ったんだ。
〝ふたつ祈りの言い伝えについて、もっと知りたい〟っていう、綾の願いを」
「……っ」
「でも、いざ調べ始めても何の情報もなくて。まあ、デマだったのなら当然だけど。
君達がふたつ祈りの話をしているのを聞いた時は、きっと何か知ってる! って思ったんだけどな」
そう言うと、庄田さんは再び大きく肩を落とした。