……と、強い覚悟で胸に誓ったのはいいが。



「……急いでなかったら少し時間くれるか? お願いします」



と。突然そんなお願い事をされる。しかも、頭を下げられて。



訳が分からなかったが、見た目ほど悪い人ではなさそう……?


まだ多少時間に余裕はあった為、俺と律はその男性の依頼通り、近くのファミレスへと入店した。




「悪いな。突然声掛けられて驚いたろ」

テーブル席に向かい合って座るその男性は、意外にもフランクな口調でそう言うのだった。

こんなファミレスで何かされることもないだろうし、男性への警戒心は徐々にだが薄れていく。

ちなみに本人曰く、鋭い視線と威圧感のある声は生まれつきで、今はコンプレックスとのこと。


男性はメニューを広げると、

「俺、コーヒー頼むけどお前らは?」

と聞いてくる。正直、そんなに喉は乾いていなかったが「じゃあ、アイスティー二つで」と答えた。