《仕方ないわよ。そもそも原因なんかないかもしれないんだし》

「……でも俺、やっぱりふたつ祈りは関係してるんじゃないかと思うんだ」


特に根拠のない、俺の勘だけれど。
神主さんも〝あの言い伝えはデマ〟だと言っていたし、実際そうかもしれないけれど。

だけどやっぱり、あの神社で二人で願い事をした途端にテレパシーが使えるようになったなんて、話が出来すぎてる気がするんだ。

だって俺達の身に起こったこのテレパシー能力は、まさに言い伝え通りの〝奇跡〟なのだから。



……だけど律は、


《まあね。でもそれ以上探りようもないじゃない》

と、どこか冷めた対応。
おかしいな。もっと〝そうだよね! 諦めないで探ってみよう!〟みたいな、好奇心強めな律らしい熱い対応をくれるかと思っていたのに。



と、ちょうどその時だった。



「……おい」

俺達の背後から、低くてドスのきいた男の声が聞こえた。

振り向くと、その男は鋭い目付きで俺達のことを見ている……いや、睨んでいる?


二十代前半くらいと思われるその人は、背は俺より高く、金髪で、両耳にたくさんのピアス。
服装は黒のパーカーにグレーのスウェットという落ち着いた格好だったものの、明らかにあまり関わらない方がいい系統の人だと思った。


「は、はい?」

何で、そんな人が俺達に声を掛けてきたのだろうか?
何か気に障ったのか、それとも意味なんてなく絡んできたのか。
いずれにしろ、律に危害が及ばないようにしないと……!