期末テストも終わった。

中間の時と同じように順位が貼り出されたので、また皆で見に行った。


俺は三十位。
前回の二十四位からは順位を落としたが、三十位なら充分だった。

尚也は前回より順位を上げて二位、律は七位まで上がっていた。


俺は、周囲が混んでいるから場を詰めるフリをして、律にそっと近付き、一瞬だけ律の手に触れた。
テレパシーで、伝えたいことがあったから。



《あのさ、律。夏休み、どっかデート、しよ》

俺は掲示板に目を向けながら、律にテレパシーでそう伝えた。
直接目を見て誘っている訳じゃないのに、緊張してしまっていた。そもそも、直接誘うのは恥ずかしすぎて無理そうという理由で、テレパシーを使ったのだけれど。
世の中の、テレパシーを使えない普通のカップルは、こんな緊張をしながらデートに誘い合ってるのだろうか。凄いな。


すると。俺の視線は掲示板に向けているものの、隣で律がクスッと笑ったのがわかった。


ちら……視線だけ律に向けると、口元に右手を充て、やっぱり笑っていた。



《何で笑うのかな?》

《ごめんごめん。わざわざテレパシーで言ってくるから》

どうやら、直接誘うのが恥ずかしかったというのがバレている。恥ずかしい。穴があったら入りたい。