「……〝あの時〟のこと、ずっと謝りたいと思ってた」


謝っても、なかったことになる訳じゃないけれど。


「それなのに、ずっと言い出すことが出来なくて、ごめん。……凄く最低な意見なんだけど、今が居心地良すぎて、〝あの時〟のことを再び言葉にするのが怖かった」


本当に、かっこ悪い。
あの時の俺も、今言っていることも、全て。





ーー中学時代、俺は律のことが好きだった。

告白しようと真剣に考えていたこともあったけれど、実行出来ないままーー中学二年生の秋、律は体調の関係で学校を休みがちになった。

詳しいことは聞かされていなかったが、何日も欠席が続くようになってからは、さすがにただの風邪とは思っていなかった。

だけどきっとそのうち、また元気に学校に来るようになるだろうと思ってもいた。



そして秋から冬へと季節が変わり、律は喉の手術をした。

春休みが終わり、三年生に進級すると、律は再び学校に通うことが出来るようになったーーが、戻ってきた律は、声を失っていた。