今の二人組の言い方には勿論イラッとしたけれど……


ーーもしかしたら、そう思ってる奴って他にもいるんじゃないか?


とつい考えてしまったのも事実だった……。


それに



今の女子達のことを、俺は責めることが出来ない。

だって俺も”あの時”――……。




やっぱりさっき、無理にでもコーヤに賛同して律と一緒に飯を食うべきだったかもしれない。反対していた尚也も、決して律とかかわりたくないと思っている訳ではなかっただろう、寧ろ律を心配してああ言っていたはずだ。

明日の弁当、一緒に食うかって、今誘ってみるか?
尚也が言っていたことも一理あるけど、弁当の時間に誘うくらい、平気じゃないか?


「りーー」


考えがまとまらないまま、とりあえず律の名前を呼び掛ける。呼び掛けながら顔を上げるとーー律は、俺のことを真っ直ぐにじっと見ていた。


久し振りに正面から見る、律の顔は、中学の時とは違い、化粧をしていない。そう言えば、制服のスカートだってあの頃より長い。膝が隠れている。



あの頃だったら、目が合えば必ず笑い掛けてくれていた律は、今は無表情で俺を見ている。
俺からの言葉を何か待っているのか?
それなら、今言えばいい。明日、一緒に弁当食おうって。



……だけど律はすぐに俺から目を逸らし、教室へと戻っていった。



……律。


お前は今、傷付いてるのか?
傷付けたのはさっきの女子達か?
それとも……今の俺か?



分からない。

何やってんだ俺。これじゃあ、”あの時”と何も変わらないだろ……。