弁当を食べ終わると、コーヤは便所へ、尚也は他クラスの友人に会いにいった。
教室に残った俺は、ロッカーに入ってる参考書を持ってこようと、廊下へ出た。
そこで、ばったりと律と出くわす。
”長尾”と”永倉”は、高校でも出席番号が近く、前後ではないけれど、席順もロッカーの位置も当然近い。
何か話し掛けた方がいいよな?
あの頃は、何でもないようなことをたくさん話せて、それが自然だったのに。今は言葉が何も出てこない。
会話が出来ないのは、律が言葉を話せないことが原因じゃない。
俺が”あの時”のことを引きずっているからだ。
あんなことがあった後で、俺は律に話し掛けてもいいんだろうか、って思ってしまうから。
その時だった。
「うちのクラスに永倉さんって子、いるじゃん。ほら、声の出ない子」
振り返ると、うちのクラスの女子二人がこっちに向かって歩いてきていた。
二人は、ここに律がいることに気付いていない様子で会話を続ける。
「あの子、いつも一人でお弁当食べてるけど、今度誘ってみる?」
「えー、やめとこうよ。下手に優しくして気に入られたらどうするの? 私、声の出ない子と三年間一緒に行動するなんて無理だよ〜」
「まあ確かに、それは嫌だよね」
「……って、本人いるじゃん!」
「えっ、ウソ! ヤバー!」
律に気付いた二人は、慌てながら教室に駆け込んでいった。
教室に残った俺は、ロッカーに入ってる参考書を持ってこようと、廊下へ出た。
そこで、ばったりと律と出くわす。
”長尾”と”永倉”は、高校でも出席番号が近く、前後ではないけれど、席順もロッカーの位置も当然近い。
何か話し掛けた方がいいよな?
あの頃は、何でもないようなことをたくさん話せて、それが自然だったのに。今は言葉が何も出てこない。
会話が出来ないのは、律が言葉を話せないことが原因じゃない。
俺が”あの時”のことを引きずっているからだ。
あんなことがあった後で、俺は律に話し掛けてもいいんだろうか、って思ってしまうから。
その時だった。
「うちのクラスに永倉さんって子、いるじゃん。ほら、声の出ない子」
振り返ると、うちのクラスの女子二人がこっちに向かって歩いてきていた。
二人は、ここに律がいることに気付いていない様子で会話を続ける。
「あの子、いつも一人でお弁当食べてるけど、今度誘ってみる?」
「えー、やめとこうよ。下手に優しくして気に入られたらどうするの? 私、声の出ない子と三年間一緒に行動するなんて無理だよ〜」
「まあ確かに、それは嫌だよね」
「……って、本人いるじゃん!」
「えっ、ウソ! ヤバー!」
律に気付いた二人は、慌てながら教室に駆け込んでいった。