「……朝、か」



カーテンの生地の隙間を縫うように差し込む朝日が、いつもより攻撃的だ。チクチク刺さって、痛い。


うまく持ち上げられない瞼をこすりながら、目覚まし音を止めた。



「起きなくちゃ」



あくびをひとつ漏らして、ゆっくり伸びをした。



なんかいい夢を見ていた気がする。

なのに、なぜか、お腹の上あたりがぽっかり空いたみたいに虚しくて、もどかしくて。


瞳が、ぼやける。


どんな夢を見てたんだっけ。

思い出せないや。




わたしはぼうっとしながらも、ベッドから下りて、学校の支度を始めた。


顔を洗って、軽くスキンケアをした後、ブレザー型のダサい制服を身にまとう。



「この制服も、着慣れないな……」



この濃すぎるネイビーは、どうにかならなかったのだろうか。


可愛さの欠片もない制服に不満と違和感を抱えながら、肩まである黒い髪を軽くとかす。


梳いた分だけ、この形容しがたいモヤモヤも綺麗さっぱりなくなったらいいのに。



鏡で全身を確認してから、カバンを持って自分の部屋を出た。



まだ、慣れない。

ここでの日常は。


ここに馴染めていない、自分にも。

いつになったら慣れるんだろう。


そもそも、慣れる日は来るのだろうか。