頬杖をついて窓の外を眺めている皆瀬くんが、視界の端っこに映る。



整った横顔がよりいっそう皆瀬くん独特の雰囲気を際立たせていた。


儚いような、透明なような、不思議な雰囲気。

わたしの言葉では到底言い表せそうにない。




――やっぱり。



きゅぅ、と胸がへんてこな音を立てて跳ねた。

どうしようもなく懐かしく、切ない。



やっぱり、皆瀬くんは、“あのときの少年”に似てる。


わたしの初恋の人に。



鮮明に、というわけじゃないけれど、今でも時折思い出す。


八年前のあのとき見つけた、桜がよく似合う、名前も知らない少年の柔らかな笑顔を。


ずっと忘れられなかった。



だから、皆瀬くんと“あのときの少年”を重ねて、よく目で追ってしまうのかもしれない。



名前だって、わざわざ冬木先生に聞いて覚えた。


“あのときの少年”には名前を聞けなかったから、今度こそ知りたくなったんだ。




……重ねたって、意味ないのに。



“あのときの少年”は、わたしより年上。

皆瀬くんじゃ、ない。



そんなこと、わかってる。

だけど。



泣いているんじゃないかってくらい脆そうな姿まで、ぴったりとリンクしているから。


どうしても、重ねてしまう。

記憶の中の“あのときの少年”と、同じ教室にいる皆瀬くんを。



初恋のほのかな甘さと共に。