信じられなくて、まずは耳を疑った。次にこれが夢かを疑い、最終的には自分が正気かどうかを疑った。
だって、好きって。そんなの、夢じゃなかったら、わたしの妄想に決まってる。そうじゃなきゃ、こんな奇跡みたいなこと。
「大好きだ」
抱きしめる力が、明らかに強まった。
肌を通り抜けて伝わってくる、少しの窮屈さと冷たいくらいの温もりは、紛れもない本物で。
やっと、信じられた。
「……ほ、本当に?」
あぁ、声が、うまく出せない。
環くんは泣きながら笑みを浮かべて頷いた。腕をゆるめて、数センチの距離で見つめ合う。
「莉子ちゃん」
わたしの目尻から、透明な雫が伝う。環くんのが伝染しちゃったかな。
「俺と一緒に生きてくれますか?」
「はい」
即答したらちょっと驚かれたけれど、瞬く間に愛しさでいっぱいの眼差しを注がれる。だんだんと環くんの顔が近づいてきて、自然と瞼が閉じていった。
ちょん、とこすれた鼻のてっぺんに、熱が帯びる。初めて重なった唇よりも、耳裏に触れてる長い指のほうに戸惑ってしまった。
きっとその指で結んだんだ。関係という名の糸を、もう二度とほどけないように、固く固く。
百年経っても変わらず色あせないであろう、この咲き誇った想いを「愛」と呼んでもいいだろうか。
わたしと環くんは一度視線を絡め、どちらともなく笑い合う。お互いの息が当たった。