踊りがハネたあと、馨とナスチャは宿に戻るために路地を抜けた。

 橋のたもとまで来ると、

「…Amazing!」

 ナスチャの視線の先には、ライトアップされた天守閣がある。

「アメリカには天守閣ないもんなぁ」

 折しも天守閣を照らすように月が浮かんでいる。

 その月の光に導かれるように、馨とナスチャは宿へ続く石畳の道を、手を繋いで歩き始めた。



【完】