やがて「春駒」のお囃子が鳴り出した。

「七両三分の春駒春駒…」

 アップテンポのお囃子に合わせて、

「ナスチャ、見てて」

 馨が腕を伸ばして足を跳ね、まずは踊ってみせる。

 ナスチャははじめこそ苦戦したが、次第に慣れてきて分かってきたのか、徐々に踊りが合ってゆく。

「あれ、あの美男美女の観光客の踊りの上手いこと」

 どこからともなく声がした。

 それから馨とナスチャはお囃子がハネるまで、「春駒」を踊って楽しんだ。