最初は馨もナスチャも踊りの輪には入らず、ナスチャが初めて見る屋台のたこ焼きや射的、金魚すくいなどを眺めながら、ナスチャが気になっていた綿飴をシェア出来るように買った。
「Japanese cotton candy!」
ナスチャの屈託のないスマイルを見て、馨は自分が何のために今まで存在していたのかを、ようやく確認出来たような、そんな気がしていたようである。
馨はナスチャの右手をつないだ。
ナスチャから、馨は綿菓子を渡された。
子供の頃以来の甘ったるい匂いと、あまりフレグランスをつけたがらないナスチャの、いわゆる女の子の匂いのような嗅感が、馨は心地よかったらしかった。