馨は紙包みを開いてから、
「言うてへんかったセリフもあった」
馨は、ナスチャの前でおもむろに膝まづいた。
「…ナスチャ、待たしてゴメンな。堪忍やで」
馨が膝まづいた段階で、ナスチャはそれが馨からの意志であることを悟ったらしく、顔を覆って泣き出した。
「please marry me」
ナスチャは泣きながらうなずいた。
「…やっぱり関西弁イングリッシュやから、風情ないなぁ」
馨は照れ笑いした。
その光景を、踊りに参加するために来ていたらしい外国人の観光客が何人か見ていたらしく、
「Congratulation!」
指笛とともに、まばらな拍手混じりに祝福された。