ナスチャから渡されたラバーストラップの裏側を、馨は確認した。

 白いペンでかすかに「馨」と書いてある。

(綾菜の筆跡や…)

 まだ京都住まいであった頃、同じラバーストラップを二個、馨がコミケのガチャで手に入れたときに、馨と綾菜はそれぞれ裏側に名前を書いて、それぞれ鞄につけてあったものである。

「…まさかこんな形で再会しようとは思わなんだわ」

 ナスチャはよく分からなかったが、馨が翻訳しながら説明をしてゆくと、

「oh…Destiny」

 あのときナスチャを助けてくれたのが、目の前にいる馨であったことを理解すると、

「これはDestinyです。私、カオルとMarriageします」

 思わず馨は、慌ててナスチャの唇に指を当てた。