しばらくして、母親の光代が倒れた。
昔から少し高血圧気味で、かかりつけの内科医から心臓に気をつけるよう言われていたらしいのだが、発作が出たらしい。
「もしかしたら厳しいかも知れません」
東京の病理学の研究所にいる、姉のミカも病院に来た。
「あんたがついていながら、どうしてこうなったの!!」
昔からミカは言い方が厳しい。
「…医療関係者のくせに、あんたが面倒見いひんかったからやろ?」
売り言葉に買い言葉で、馨が冷ややかに言い放つと、ミカはショックのあまりふらついた。
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