さよか、と馨は、

「でも女を怒鳴るような男は犬畜生以下やし、うちは人間やから、なるだけ怒らんようにしてた」

「…馨ってさ、人を傷つけたくないからって、自分を痛めつけ過ぎだよ」

 だから、と綾菜は、

「その例の子を大事にするあまり、自分をボロボロにしたらダメだよ」

「…アドバイスありがと、おおきに」

 綾菜は気になったことを訊いてみた。

「もしかして、こないだの外国人のコ?」

「なんで?」

「あの子…馨とお似合いだったからさ」

「そうかなぁ?」

「でもさ、いくら好きな人だからって、外国まで来るなんて私には出来ない」

 綾菜は負けを認めたような言い方をしてから、

「今度、そいつ綾菜に会いたいらしいんやけど」

「時間が合えばね」

 馨と同じ答えに、思わず笑ってしまった。

「おやすみなさい」

 おやすみのスタンプを押して、会話は終わった。