黙っているのが耐えられなかったのか、綾菜が彼女について訊いてきたので、
「おらんけど、ちょっと気になってる子はおる」
スマートフォンを繰って、ナスチャとの写真を見せた。
「こないだ日本に遊びに来たとき撮ったんやけど」
綾菜にすれば外国人との写真は想定していなかったらしく驚いたらしいが、
「…すごいね。馨のイケメン度って世界共通なんだ」
「それは分からん」
うちは顔だけで暮らしてへん、と馨は来たばかりのミルクティーを飲んだ。
「今日はちょっとこのあと仕事あるから時間ないんだけど…今度さ、また話したいことあるから連絡していい?」
「…えぇよ」
ちょっとだけ馨はナスチャの顔がよぎったらしく、少し罪悪感をなぜか感じたらしい。
連絡先だけ交わして、この日は別れた。