立ち話も何だから、と綾菜は馨を地下街の喫茶店へ誘った。

「ここね、ミルクティーが美味しいんだ」

「さよか」

 綾菜は急にクスクス笑い始めた。

「ゴメン、まるで変わらなさ過ぎてつい」

「まぁ変わりモンやから、変わりようがないんとちゃうか?」

「変わらないなぁ、関西弁」

 綾菜は氷水をひと口つけた。

「…彼女、いる?」

 綾菜は訊いてきた。

「そういう綾菜こそ、結婚したんやろ?」

 馨は薬指の指環を指摘した。

「したにはしたけどね…」

 どうやら綾菜は結婚生活が上手くいってはいないらしい。