深夜、馨が仕事の遅れを取り戻そうとパソコンに向かっていると、

「カオル」

 ノックもそこそこにナスチャが入ってきた。

「カオル、Workですか?」

 ナスチャは時折英単語の混ざった日本語を話す。

「うん」

 ナスチャは椅子の背もたれ越しに馨の肩へ腕を回し、

「あなたに…逢いたかったです」

 どうやらナスチャは馨に、好意を抱いているのかも知れなかった。

 馨は苦笑いを浮かべてから、

「ありがとう、おおきに」

 利き手の左手を伸ばしてナスチャの髪を優しく撫でてから、

「けどな、これHurryのWorkやねん」

「Sorry」

 ナスチャは馨の頬にキスをすると部屋を出た。