アナスタシアは中野のブロードウェイは知らなかったらしいが、スマートフォンで調べてみたものか、画面をタップしたりスクロールしながら何やら見てから、
「Go!」
というと、馨の腕を引っ張って駅へと引き返し始めた。
説明は上手ではないらしいが、どうも行動力だけはあるようで、
「なるほどなぁ」
とだけ小さく口の中で言葉を飲むようにうなずくと、再び駅へと歩き始めた。
馨とアナスタシアが秋葉原から中央線で中野まで電車で移動する道中、
「習った日本語と違う」
というので当初は韓国人だと勘違いされていたらしい。
「まぁ確かに関西は在日ようけ住んどるけど…」
くどいようだが、粟飯原家のルーツは岐阜にある。
「岐阜はいつから朝鮮半島になったんや」
笑いながら馨はツッコミを入れた。