下がった視線の先、パンプスが目に飛び込んできた。
ショーウィンドウの中のマネキンが欲しかったパンプスを履いてる。

薄暗くなりかけていた空がみるみる色を落として、ショーウィンドウのパンプスの前にローファーを映した。

私のローファーに靴下。
結局私も、みんなと同じローファーに、同じソックス丈、同じスカート丈じゃん。
あんたも何も変わらないよ。
一番まわりに期待してたのは私なのかもしれない。
ブレザーもリボンも変わらない。

自分をこんなにじっくり見るのはいつぶりだろう。
知っていた身体より少し痩せたのかもしれない。
細い首の上で、顔の半分以上をマスクが隠してる。

そういえば眼鏡がない。
見たことのある目があった。
よく知ってる目。

長いマツゲの斜の端に接するように、左の目元にあるホクロ。
あともう一つ同じ位置のホクロがある。
左の口元のホクロも一緒。
マスクを下げると、ずいぶん久しぶりに見るよく知ってる顔があった。
いつからこんなに似ていたんだろう。

お母さんの顔だ。