私が信号に向かって歩きだすと、死神は横に並ばず、斜め後ろからついてきた。
信号が赤になり、スクランブル交差点のまわりに人の塊ができる。
ハチ公前で信号待ちしている人だけでも百人以上はいそうだ。

すぐ近くに制服を着た女子高校生のグループがいる。
妙にテンションが高くてリアクションが大きくて、会話相手に向けてというより、まるで外部の人間に向かって演技してるみたいだ。

――劇団女子高生。

前は私も同じように見られていたのだろうか。

高校に入るとすぐ、似たような仲間がまわりに集まってきた。
その中には中学からSNSで私のフォロワーだったという子もいた。
私は暇で、SNSでメイクやコーデの投稿をしていた。
小さなころから母親を真似て、メイクもファッションも好きだった。

だからまわりの子から褒められるのも嬉しかった。