人間……だよな。なんで起きてるんだ?

向こうも、同じような顔でこっちを見ている。
目をそらさずにお互いを見たまま、ぼくらは動けずにいた。

猫みたいな大きな目が、ぼくを見上げている。
その子は、ぼくよりほんの少し若いように見えた。
大学生くらいだろうか。
真っ白い肌に、アッシュカラーのセミロングと真っ赤なパーカーがよく似合う。
どこかで見たような気がするけど、かわいい子はみんな、
どこかで見たような気がする。ぼくの記憶なんて、その程度のものだ。

ぐいっと一歩、彼女がぼくに近づいた。

「なにしてるの?」

間近で見つめられて、ぼくは息が止まりそうになった。