ぼくは、彼女が置いたカップにコーヒーを静かに注いだ。

「砂糖とミルクは?」

「幸樹は?」

「ぼくは両方入れる」

「じゃあ、わたしも入れる」

七葉は期待に満ちた目でぼくを見上げた。

まるで、散歩に連れて行ってもらうのを待ってるわんこみたいだ。
まあ、僕は犬を飼ったことはないんだけど。

窓際の席に向かい合って座ると、七葉は神妙な顔でコーヒーに口をつけた。