ぼくは眠るのが下手だ。

パソコンに向かっているとき、終わらない会議中、
もはやなにを怒られているのかわからないほど無限に広がっていく上司の説教を立って聞いているとき。

そういう、「眠っちゃいけない時」に限って眠くなるくせに、
ベッドに入ると目が覚めてしまう。

理由はわかっている。眠ったら、明日が来てしまうからだ。

いや、もちろん眠らなくたって明日は来る。
そんなことはわかっている。
けれど、眠りから覚めた朝、何も考えていない状態からじわじわと
ぼくの頭に現実が入り込み、「今日もまた今日が始まってしまう」と
気づいた時の絶望感が耐えられないのだ。

こんなことを言うと、「眠るのに上手いも下手もないだろ」と言う奴がいる。

そう言える奴は、幸せな人間だ。
そして、眠るのが上手い人もまた、幸せな人間だ。