長月ケットは呑気に犬の散歩。

「ねえ。
最近、友達がアプリ配信にハマってるんだって」と長月ケット。

ケンタにぃは答える。高校生だ。

「そっか」

「そうだよー。

ねえ、ラビットぉー」とケット。

ラビットというのは犬の名前だ。

長月ケットはケンタにぃの前に向き直る。歩道。

「ねえ。
父さんから聞いたんだけど、父さんは母さんが好きだった。

母さんも父さんを好きだった。

ということはあたしも?」

ケンタにぃは答える。

「人生は長い。
意識と感情はこれからもすれ違うんだろうな」「それはケンタにぃ。ずるーい。

答えになってないよ」と長月ケット。

「そっか?
意識と感情がすれ違うから人間にはフィクションが必要なんだ」とケンタにぃ。

「了解する。
国語とかもそういう授業だもん」と長月ケット。

「言語そのものが自分は何かと問うことが出来る。そしてその矛盾が人間であることを証明する」
「すごーい。ケンタにぃってヤンキーじゃないみたいだね」と長月ケット。

「違うな」とケンタにぃ。
コーラを飲む。
「俺はヤンキーだ」