私はため息をついた。
目の前には、白紙の原稿用紙と、課題の書いてあるプリントがある。
作文の課題は、こう。
『今までで一番ショックを受けた出来事について九〇〇字(原稿用紙二枚半)程度書きなさい。』
提出までまだ時間があるからと、図書館では後回しにした課題。
ショックを受けたことは、もちろんある。
凄く些細なことから、中々強いものもある。
五本入っていると思っていたお菓子が四本しか入っていなかったり、友達が転校したり。
ただ、どれも一番ではない気がする。
気がするというか、一番じゃない。
もう一度ため息をつき、引き出しから紙を出した。
一番ショックだった出来事を思い出そうと、時系列を書くために。
恐らく、思い出せないだろうけど。
紙の右端に『2』と書いて、左端に『15』と書き、大体等しくなる感じで間の数を埋めた。
そして、左端からショックだった出来事を思い出せる限り書いていった。
埋まるとこはすぐ埋まり、あとはたまにポツポツと出てきた。
結果、思った通りの場所だけが空いた。
1つ目の空白は、モヤがかかったように、真っ白い記憶しかない6歳から8歳までの間。
この空白は私が思い出せなくても親が、特に父がたまに話題にするので、ある程度何があったのかは知っている。
だから、こっちの空白は、他よりも書き込んである出来事が少なくても、真っ白ではない。
問題は、もう一つの空白。
12歳の誕生日の前後半年ずつの、小6の一年間の『あの時期』の記憶。
その時期の出来事だけ、まるで避けているかのように誰も何も言わない。
私自身も、この期間の前後の出来事はぽつぽつとしか覚えていないし、その期間中のことは何一つ思い出せない。
絶対この期間中に、今までで一番ショックだった出来事があったはず。
時系列を見つめながらそう確信して、シャーペンを一度強く握る。
ただ、次の瞬間、シャーペンを離し、
「もぉおおお!」
と大声を出して反り返った。
反り返り、椅子の背もたれを前に回していたことを思い出した。
でも時すでに遅し。
私はそのまま背中から床に落ちた。
目の前には、白紙の原稿用紙と、課題の書いてあるプリントがある。
作文の課題は、こう。
『今までで一番ショックを受けた出来事について九〇〇字(原稿用紙二枚半)程度書きなさい。』
提出までまだ時間があるからと、図書館では後回しにした課題。
ショックを受けたことは、もちろんある。
凄く些細なことから、中々強いものもある。
五本入っていると思っていたお菓子が四本しか入っていなかったり、友達が転校したり。
ただ、どれも一番ではない気がする。
気がするというか、一番じゃない。
もう一度ため息をつき、引き出しから紙を出した。
一番ショックだった出来事を思い出そうと、時系列を書くために。
恐らく、思い出せないだろうけど。
紙の右端に『2』と書いて、左端に『15』と書き、大体等しくなる感じで間の数を埋めた。
そして、左端からショックだった出来事を思い出せる限り書いていった。
埋まるとこはすぐ埋まり、あとはたまにポツポツと出てきた。
結果、思った通りの場所だけが空いた。
1つ目の空白は、モヤがかかったように、真っ白い記憶しかない6歳から8歳までの間。
この空白は私が思い出せなくても親が、特に父がたまに話題にするので、ある程度何があったのかは知っている。
だから、こっちの空白は、他よりも書き込んである出来事が少なくても、真っ白ではない。
問題は、もう一つの空白。
12歳の誕生日の前後半年ずつの、小6の一年間の『あの時期』の記憶。
その時期の出来事だけ、まるで避けているかのように誰も何も言わない。
私自身も、この期間の前後の出来事はぽつぽつとしか覚えていないし、その期間中のことは何一つ思い出せない。
絶対この期間中に、今までで一番ショックだった出来事があったはず。
時系列を見つめながらそう確信して、シャーペンを一度強く握る。
ただ、次の瞬間、シャーペンを離し、
「もぉおおお!」
と大声を出して反り返った。
反り返り、椅子の背もたれを前に回していたことを思い出した。
でも時すでに遅し。
私はそのまま背中から床に落ちた。