「あ!おはよ、百香、李依!」
はしっこの席で男子達とワイワイ喋っていたハルトが、私達が教室に入った事に気づき、遠くから声をかけた。
「おー、おはようハルトー」
「・・・・・・おはよう、ハルト」
ハルトが私より先に百香の名前を呼んだ事が気に入らなかった。
それに、私が挨拶する前に百香がハルトに挨拶した事も気に入らない・・・。
まるで、百香&ハルトのカップルじゃん・・・。
もともと私より百香の方がハルトには合ってるし、ハルトだって百香をフったんじゃなくて百香にフラれたわけだから、まだ諦めがつかない事くらい分かる。
でも、今の彼女は私なんだけどな・・・。
「・・・・・・俺アイツら嫌いだわ」
え・・・・・・?
えぇっと・・・・・・え!?
怜に好きになってもらいたかったのに。
「おい、ハルトってやつ、ほんとに李依の彼氏なんだよな・・・・・・」
百香達に私が1人で喋っているなんて行動見せられないので、静かに頷いた。
「・・・・・・きも」
さらに、え!?
確かに、そうかもしれない。
怜は正直だ。
いや、それでも、きもは失礼じゃない!?
私は怜を無視して席に着いた。
「李依、明日空いてる? 百香と俺と李依で映画行きたいなって話になってさ」
・・・・・・なんだ。百香も誘ってるの・・・・・・。
「明日は・・・・・・空いてない」
「そっか。オッケー、百香にも言っとくわ」
案外あっさりと戻ろうとするハルトを呼び止めて聞いた。
「じゃあ、2人で行くの?」
「うん。 ・・・・・・あれ、もしかして嫉妬してる?」
「してないっ!!」
咄嗟に出た大声で、何人かがこちらに視線を移す。
ハルトは、ふぅんと言ってから、廊下にいる百香のもとに走っていった。
きっと、私が空いていない事を伝えに行くだけの事だろう。
でも、私より仲良くてお似合いなのは気のせい?
うん、きっとそうだ。
それに、私だって怜と幼稚園に行くっていう予定があるし・・・・・・。
普通に考えると、何それっていう予定なんだけど。
「そう落ち込むなよ。俺が一緒にいてあげるからさ」
「別に落ち込んでなんかないですけど」
自分でもかなり落胆している事が分かるのに何言ってんだか。
恥ずかしくなってくる。