「それで、お前はちゃんと俺の頼み事を受け入れてくれるのだろうか?」


「え・・・・・・」


怜の声に瞬時に反応してしまった。


「どうしたの、李依? 何か変な物でも入ってたかしら」


「あ、ううん!? なんにも、お母さんのご飯は最高だよ!」


私は美味しいという事を見せるために真っ白な白米をかきこんだ。
弟の軽蔑した目線が、ひしひしと伝わってくる。


「姉ちゃんさ、最近変だよね。 ずっと部屋にこもってるし、ある日は一日中家にいなかったりするじゃん」


母親の隣に座っていた弟が、私を見てそう言った。
うぅ、一番バレたくなかったやつにバレてしまった・・・・・・。

弟にバレるとかなり厄介だ。
親にチクられるのが一番困る。

母親は過保護とまではいかないが、かなり子どもの事を心配する人だ。

もし変な所に目をつけられてしまえば、もう遅くまで出かけられなくなってしまう。

私は内心ドキドキしながら母親の返事を待った。


「確かにそうね。 李依、どこか行きたい場所が溜まっているの?」


一番聞かれたくない質問来たーーっ!!


「うん。 お母さんやあんたには分からない、女子高生の事情ってものがあるの。 いちいち探らなくていいから」


私は唐揚げを頬張りながら、キッと弟を睨みつける。


「確かに、僕らには分からないんじゃないかなぁ。 最近の高校生は、色々と忙しいんだろう?」


珍しく父親が口を開いたと思うと、まさかの私の味方発言。

普段家族とあまり接しない父親が、私の方につくのはかなり珍しい。


それには母親も驚いたらしく、箸をテーブルの上に落とした。


「そ、そうだよ。 JKは色んな意味で忙しいんだから」


そう、恋愛という意味でな。

父親は、察したような落ち着きをして、おじいちゃんのようにお茶をすすった。


「おい李依、無視するな。 ちゃんと俺をハルトのもとに連れてってくれよ?」



‘ はいはい、分かりましたよ・・・・・・ ’



心の中で私が呟く。

全く、怜と付き合っていくのも苦労するものだ。

何も知らない怜の事を、すんなりと受け入れてあげている私にも、少しくらい感謝してくれてもいい気がする。