怜は、今きっと話しているだろう。

どういう関係なんだろうな・・・・・・。


というよりも、私はなんとなく気づいた。




怜は、私に何かを隠している。




ここに来たのも、きっと何か隠していて、それを解決するためだ。
私はそれに協力しているだけ。

隠しているとしたら、やっぱり人間関係だろうか。

しかし、まず怜が生きているのかという問題だ。

・・
生きていたのは間違いない。

もし生きていなかったというなら、幼稚園なんかに通っているはずがないし、篠原先生も怜の事を知っているというのもおかしい事になる。

じゃあハルトとの関係はなんだろう。

ハルトと怜なんて、なんの関係もなさそうだ。


「じゃあやっぱり、私達を仲直りさせるため・・・・・・?」


やっぱりおかしい。

正直に言って、怜は自己中で自信家な所がある。
あまり他の人に協力するような事はしない。

と思う。


私はこれまで、怜について全く聞かなかったし、全然興味も湧かなかった。

それは、怜の事が嫌いという意味ではない。

怜の声を聞くと、安心するというか、何だか夏休みに帰るおばあちゃん家のように懐かしく感じるのだ。

どうしてかは分からないけど。

私はセミロングの横髪を丁寧に手ぐしで解いた。


「あっ・・・・・・百香に返事しなきゃ」


落ち着いた手つきでスマホを手に取った。
ハルトとのツーショット写真のロック画面が太陽の光で反射する。


『うん、今日朝起きて頭痛してきたみたいだから大丈夫。 メールありがとう』


手首を上手く動かして、文字を素早く入力して百香に送った。

すぐに既読が付いた。

返信待ちをしていたのか。


かなりの時間待機していてくれた事に、少し心が安らいだ気がした。


私って、なんか単純だなー・・・・・・。

変な所で勘違いしちゃうし、すぐ人を疑ってしまう。
信じられる相手だと思っているつもりだったが、本当は無意識に疑っていたり。

それとも、その疑っていた事が事実なのか。

それは、今の私では分からない事だ。


「李依!」


公園の柵を通ってこちらに来る怜は、いつもより笑っていた。

私は、頭痛が来る事を予測して、ベンチにもたれかかった。