頭の中に柔らかい男の子の声がする。
透き通り、まるで声優の声のようだ。


「聞こえてねぇふりするなよ」


まただ。
私は心を落ち着けるために、大好きなマンガの王子様を呼び出す。

つるぎを振り回し、声の主を倒そうとした。


「うわ、なんか変な刀振り回してるやついるんだけど」


私にだけ聞こえる冷静な声が響いた。





3月10日。



彼と出会ったこの日を一生忘れる事はなかった。