がらがらがらーっ。

入ってきたのが誰か見ようと身を乗り出した
のと同時に、

『初日から、担任も休みかよ~、吉田じゃん』

という、
莉乃ちゃんの浮かない声が聞こえる。

『あー、吉田先生か~。懐かし~。』

吉田先生は、高1の頃の担任だ。

『あーそっか!楓恋、1年の時担任かぁ〜』

莉乃ちゃんが、思い出したようにつぶやく。

『うん!』

私はちょっぴり元気に、返事をする。


彼はドアの前に立つなり、あたりを
キョロキョロと見わたすなり、何をしだすかと思うと、

『かれーん ちょっと~』
と、手招きをしてこちらを見ている。
その表情には、微笑みが隠れていた。

『莉乃ちゃん、ちょっと行ってくる~』

『おーっ、いってら〜』

莉乃ちゃんのラフな返しが、気を使わずに
いられて好きだ。

萌香の方を見ると、クラスメイトと
笑いあっていた。


でも私がこちらを見ると、萌香もにこっと
笑ってこちらを見てくれて、少し安心した。