見た目が変わっても人目が怖いのは、自分に自信が持てないからだ。そんなだから、引きこもって漫画を描いているのが丁度良かった。

通信制の高校に通う事になってレポートは出しても、設定された登校日に行く事が出来なかった。"学校"に出向くと言う事だけで、身体が拒否してしまっている……。

「……こんな事を聞くのもなんだけど、カナミちゃんは人混みが苦手?」

私は人とすれ違う度にビクッと反応してしまっていた。ヒロ君がそれに気付いていた。

「……はい。苦手なんです。苦手で…たまに過呼吸起こすから紙袋を持っていたんです」

「そっか、何となくそんな気はしてた。過去に何があったかは分からないけど、俺で良かったら、協力するから焦らないで……ゆっくり克服して行こう」

「………は、い……」

ヒロ君は何故そんなに私に優しくしてくれるのだろう?私の事は本名も知らないし、過去も知らないのに……。私は優しさが嬉しくて、涙がボロボロと溢れ出した。

後僅かの距離で本屋さんに辿り着くのに、私は立ち止まって泣いてしまった。行き交う人々が驚いて、私を避けて離れて歩いている。

最近は本当に人の有難みが分かるようになり、感慨深くなっている。

優しさに触れれば触れる程に感情が溢れ出す。