「聞いたことはあるけど、読んだことはないです」


「何で私なんかに とでも思った?」


図星だ。
小説を書いてるだけあって、観察力がずば抜けているのかもしれない。

私は表情がバレないように、口元を咄嗟に手で覆った。


「他にもたくさん女子いるよ?
手当たり次第話かけてるとか…」


「うん」


今頷いたよね?
やっぱりそうだと思って期待していなかったけど、そう言われると少し心が傷つく。

誰でもよかったなんて、絶対に言われたくない言葉を言われないだけ、まだマシなのかな…。



無言のまま私はその場を立ち去った。