ここでグズグズしている暇もなく、あたしは勇気を出してドアを開けた。


「おはよう」


いつものようにみんなに声をかけた


クラスの半分ほどが登校して来ているが、誰からも返事はない。


冷ややかな視線と、さざ波のような話し声が聞えて来る。


いつもと違う。


咄嗟にそう感づいた。


あたしはあくまでもクラスのトップグループにいる人間だ。


挨拶はいろんなところから返ってきていたハズだった。


今日は挨拶の代わりに痛いほどの視線を感じながら席に到着した。


嫌な汗が流れて来るのがわかる。


「おはよう美紗」


久美の声が聞こえてハッと振り向く。


久美は昨日と変わらない笑顔だ。