「どうせだからあたしが見繕ってあげようか?」


嬉しそうにそう言ってくる久美にあたしは慌てて左右に首を振った。


「大丈夫だよ。あたしは特に買うものもないから」


そう言うと、久美は一瞬あたしを睨んだ。


気分を悪くしてしまったかもしれないが、仕方がない。


一刻も早くこの場から逃げたいとさえ思う。


「美紗、そんなこと言わずに一緒に買い物すればいいじゃない」


お母さんが横からそう口を出して来た。


あたしはギョッとしてお母さんを見る。


「でも……」


「それなら、明日遊ぼうよ」


久美が思いついたようにそう言った。


「え?」


あたしは久美に聞き返す。


「明日の日曜日、なにか予定ある?」


「別に、ないけど……」


「それならよかった。じゃ、また明日ね!!」


久美は強引に約束を取り付けると、そのままレジへと向かってしまったのだった。