「ミッキーと連絡先くらい交換しておけばよかった」


思わずそう愚痴る。


あれだけ顔を合わせているのに、連絡先も知らないのだ。


最初はミッキーに連絡先を聞くことなんて考えられなかったのに、今ではそれをすごく後悔している。


ミッキーと会話をしているとあたしは元気になることができる。


あののんびりとした笑顔にとても心が軽くなるんだ。


ミッキーの笑顔を思い出すと、自然と笑顔になっていた。


落ち込んでいるあたしを見たらミッキーはきっと心配してくれるだろう。


『美紗っちどうしたの?』


って、馴れなれしく話かけて来るだろう。


それを想像しただけで、あたしの気分は少しだけ明るくなった。


ミッキーには不思議な力がある。


それは、あたしを元気にさせる力だ。


あたしはそう思い、楓に返事をするためスマホを取り出したのだった。