なのにどうしてか、後ろめたい気分になった。


「そのライターを、今富田さんが使ってたの?」


明人君に聞かれて、あたしの心臓は大きく跳ねた。


返事ができない。


汗が背中を流れて行くのを感じる。


明人君は真っ直ぐにあたしを見つめている。


「保健室登校の俺じゃ頼りないかもしれないけど、教えてくれないか?」


「……使った」


諦めてそう伝えると、明人君は更に質問を続けた。


「なんのために? 富田さんは喫煙者じゃないよね?」


「あたしは……」


そこまで言い、焼却炉の中へ視線を向けた。


灰になった合成写真は今、投げ込まれたゴミの下に知っている。


もう崩れて原型は留めていないだろう。