早足で廊下を歩いていると、せっかくミッキーにもらった元気が一気に消えて行くのを感じた。


スカートの中のふくらみがあたしの気持ちを重たくさせる。


あたしは大股で歩いて校舎を出るとそのまま真っ直ぐに焼却炉へと進んだ。


焼却炉の裏にライターが隠されていることをあたしは知っていた。


焼却炉に火をつけるためのライターではなく、ここで喫煙している生徒が隠したものだった。


ここで吸っていれば燃えたものの煙や匂いと一緒に誤魔化す事ができるからだ。


あたしはもちろんタバコなんて吸わない。


ポケットから写真を取り出し、それに火を付けて焼却炉に投げ込んだ。


乾いた紙は一気に燃えて灰になる。


あっという間に消えてしまうそれをあたしはジッと見つめていた。


たったこれだけのものなのに、人の心をかき乱し、人の生活さえ危うくさせる力があるのだ。


犯人はあたしを追い詰め、学校に来させないようにしたいのかもしれない。