「久美、さっきの新商品ってこれ？」


突然そんな声が後方から聞こえてきてあたしと久美は立ち止まった。


振り返ると、楓が立っている。


その手にはファンデーションが持たれていた。


「それそれ！　楓も買ってたの！？」


久美が驚いた顔で、だけどとても嬉しそうに楓に話しかける。


一瞬にして輪からはじき出された気分になるあたし。


しかし、久美と会話をする楓があたしに目配せをしてきたのだ。


その意味を理解するのに少しだけ時間がかかった。


校門前に立っているミッキーと視線がぶつかる。


そこでようやく理解できた。


楓はわざと久美を遠ざけてくれたのだ。


楓と久美は２人で校門をくぐって歩いて行く。


その後ろ姿を見送った後、あたしはミッキーに近づいた。