あたしの隣には久美がいるのだ。


ミッキーが話かけてくれば、あの男は誰だと詰め寄られるに決まっている。


ミッキーは背が高くて久美の好みのタイプでもある。


そうなれば久美はミッキーをほっておかないだろう。


そう考えるあたしは下唇を噛みしめていて、ハッとした。


なに考えてるんだろうあたし。


ミッキーと久美がどうなろうと、あたしには関係ないことなのに……。


そう思った時、ミッキーの隣を通り過ぎた。


ミッキーはあたしに向けて手を振る。


あたしはぎこちなくほほ笑み返した。


久美は会話に夢中でミッキーの方を見ようともしない。


「ねぇ美紗、聞いてる?」


「う、うん。聞いてるよ」


あたしは慌ててそう返事をした。


久美はミッキーに気が付かなかったようで、あたしはホッとため息を吐き出したのだった。