楓の視線を感じる。


呼吸が荒くなり、背中に汗が流れて行くのを感じてあたしはすぐに紙を引き裂いた。


「美紗……」


楓が心配そうに声をかけてくるけれど、無視してビリビリに破いていく。


なんで、どうして?


そんな言葉が喉の奥に引っかかっている。


ハッと顔を上げて楓を見ると、楓が眉を下げてあたしを見ていた。


楓に、見られた……。


サッと血の気が引いていく。


「ち……がうの……」


何かを言おうとしているのに、上手く言葉にできない。


次第に気持ちが悪くなり、あたしは勢いよく立ち上がって女子トイレへと走った。