「あ、わかった! みんな予め打ち合わせをしてたんでしょう!? 楓か明人君からミッキーの存在を聞いていて、あたしを驚かせてやろうって魂胆で!」


「美紗っち。違うよ」


ミッキーが左右に首を振り、あたしの考えを否定した。


「ねぇ、やめてよ美紗。さっきから1人でしゃべって、なんだか怖いよ」


清香が自分の体を抱きしめるようにしてそう言った。


その顔は青くなっていて、本気で怯えているのがわかった。


「嘘でしょ……?」


「本当のことなんだ。俺はもう死んでる」


ミッキーの優しい声が聞こえて来る。


あたしはミッキーの本名を知らない。


ミッキーの年齢も知らない。


ミッキーの家を知らない。


あたしは、ミッキーのなにもかもを知らない……。