田村先生のことは全校生徒が知っていることらしく、この日の1時間目は全校集会が開かれることになった。


生徒たちへ向けて頭を下げる校長先生。


田村先生は親からのクレームや無理な要望に応えるため、毎日悩みを抱え、精神的に参っていたらしい。


数年前にはそれが原因で胃潰瘍になり、入院もしている。


そんな田村先生は自分を守るため、生徒たちを苦しめるような行動に走ってしまったようだ。


決して許されることではないけれど、田村先生だけに責任を押し付けるわけにはいかない出来事だった。


あたしたち生徒は先生と親の両方を毎日顔を合わせる唯一の存在だ。


そんなあたしたちができる事はきっとある。


先生と親との関係をもっと快適なものにすることができるはずだ。


あたしと明人君が被害に遭った事で先生たちへの懸念は増えるだろうけれど、被害にあったことを無駄にしちゃいけないんだ。


あたしは全校生徒を前にした説明を聞きながら、そう感じたのだった。