重たくなり始めた瞼を押し上げると、目の間に見知らぬ青年が立っていた。


背が高く、細身で、茶色いねこっけの青年。


その青年は身をかがめてあたしの顔をジッと見ている。


口角を上げ、なんだかとても楽しそうな表情だ。


あたしは一瞬状況が把握できず、周囲を見回した。


さっきまでいた老人たちの姿は見えなくなっている。


えっと……。


あたしは青年へと視線を戻した。


年齢はあたしと同じくらいかな?


だけど相手は制服を着ていない。


今日は学校が休みなのかもしれない。


見たことのない顔だ。


「ねぇ、聞こえてる?」


あたしが冷静に分析をしていると、青年がそう声をかけて来た。


あたしはスッと息を吸い込んだ。


「聞こえてる」


と、無愛想な声で返事をした。