明人君を励ましながら校門まで来ると、楓と透が待っていてくれた。


2人とも、あたしたちがクラスに入りやすいように気を使ってくれたのだ。


明人君は透の顔を見るとホッとしたようにほほ笑んだ。


やっぱり、友達の力って偉大だな。


あたしは2人を見てそんな風に感じた。


あたしだって同じだ。


誰も信用できなかった時、楓がずっと一緒にいてくれた。


楓のことだって最初は信用できなかったけれど、一緒にいることで随分と救われたのだ。


「楓」


あたしは前を歩く楓の名前を呼んだ?


「なに?」


楓は立ち止まって振り向く。


「ありがとう」


あたしがそう言うと、楓はキョトンとした顔になり、そして笑顔になった。


「どういたしまして」


そう言い、あたしの手を握る。


教室まで、あと一歩だった。