楓はとっくの前に家に帰っていると思っていた。


「ちゃんと謝った方がいいよ?」


その言葉にあたしはミッキーの顔を思い出す。


楓はどこからかあたしたちの様子を見ていたようだ。


それで心配して追いかけて来てくれたんだろう。


「ちゃんと気持ちを伝えないと、後悔するかもしれないよ?」


「後悔なんてしないよ」


あたしは楓にそう言い、歩き出した。


今は1人になりたかった。


「でも、ミッキーは美紗の事を思って――」


「ミッキーはあたしの事をなにも知らないから簡単に心配ができるんだよ」


あたしは楓の言葉を遮ってそう言った。


楓が驚いた顔をあたしへ向ける。


「同じクラスの楓ならよくわかるでしょ? 心配されてもどうにもならないってことくらい」