ミッキーはあたしのことなんてほとんど知らない。
そりゃあこの前話を聞いてもらったりはしたけれど、根本的にあたしたちは暮らしている場所が違うのだ。
あたしがどんな状況にいるのかなんて、ミッキーにわかるわけがない。
「俺は美紗っちの事をちゃんと見てるよ?」
ミッキーは眉をハの字に下げてそう言った。
「学校にも行ってないミッキーにはわかんないよ!」
思わず声を荒げてそう言ってしまい、ハッと我に返った。
ミッキーは悲しそうな顔であたしを見ている。
しまった、言いすぎた。
ミッキーの事を何も知らないのはあたしの方だ。
ミッキーがどうして高校に通っていないのか、あたしは聞いたことがなかった。
だけど素直に謝る事もできず、あたしは立ち上がった。
ミッキーが何か言いたそうにしているのを遮り、「じゃあね」と冷たく言うとあたしは歩き出したのだった。